お知らせ

  • 2022.06.08
    入試説明会が 6月18日(土)に開催されます。

    大学院地球環境科学専攻の入試説明会が 6月18日(土)に開催されます。オンラインは気軽に参加できると思いますので是非ご参加ください。
    https://sites.google.com/view/chikyusetumeikai/ホーム

  • 2022.05.30
    メンバーを更新しました。

    新年度でD1が1名、M1が3名、B4が3名増えました。(2022.5.1)

  • 2022.03.03
    ホームページがリニューアルされました

    ホームページがリニューアルされました。スマホで見やすくなりました。まだ追加中の部分もありますが、よろしくお願いいたします。

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古気候とは

古気候学グループは、関連する教育研究を推進することを目的とした研究グループです。中塚研、植村研、阿部研の3研究室が運営しています。将来の地球の姿をより正確に予測するために、生物試料の樹木やサンゴ骨格、堆積物の鍾乳石やアイスコアを用いて、これらに刻まれた様々なタイムスケールの気候史の復元とその変動要因の解明に取り組んでいます。

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古気候を研究してみませんか

「古気候学」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょう。古気候学とは、最新の分析技術を使って、さまざまな時間スケールの気候変動の実態を明らかにし、地球温暖化予測などの世界の最先端の取り組みに貢献している学問です。

気象観測データが世界中で組織的に取得され始めたのは、20世紀の後半からの数十年間しかありません。そのデータをいくら解析しても、数十年以上の時間スケールの気候変動の実態は見えてきません。ところが、地球の気候システムは海洋循環や氷床量変動をはじめとして数十年以上の時間をかけて変動する要素がたくさん存在します。したがって、多数の要素が影響しあう地球の気候変動を研究するためには長期間の気候変動記録が必要になります。

古気候学は、樹木やサンゴの年輪、鍾乳石、アイスコア、海底・湖底堆積物、陸上堆積岩などのさまざまな自然の媒体に刻まれた過去の気候の記録(古気候プロキシー)を最先端の手法で読み出すことで、現代という時代の制約から解き放たれて、地球の誕生から現在までの気候変動の実態を自由に明らかにする力を持っています。

私たち大気水圏系の古気候学グループでは、特に、樹木やサンゴの年輪、鍾乳石、アイスコアなどの高時間解像度の古気候プロキシーを対象に、主に安定同位体比の分析技術を用いて世界最先端の研究を行っています。精度よく生み出されたデータからは、気象観測データが及ばない過去数百年~数千年間の気候変動が詳細に解析できます。それにより、地球温暖化が始まる前の自然の気候変動の実態がどのようなものだったのかを明らかにすることで、逆に産業革命以降の気候変動への人間活動の影響を客観的に理解することができます。こうしたデータは、地球温暖化予測に用いられる気候モデルによる長期気候シミュレーションの検証にも使われています。

さまざまな自然の古気候プロキシーを対象とする古気候学は、もとより、さまざまな学問分野や、さまざまなフィールド研究との連携の上に成り立っています。試料は、ヒマラヤの森林、沖縄のサンゴ礁、洞窟、南極の氷床など、地球上のさまざまな地域から採取されます。得られる古気候データは、気象学・気候学はもちろん、森林科学、海洋生態学、雪氷学、歴史学・考古学など、多くの関連分野の研究者との連携によって、さまざま目的で有効に利用されています。古気候を研究することで、これまでに経験したことのない多様なフィールドワークや異分野の人々との交流が、皆さんにも可能になります。

皆さんの知的好奇心と行動力を、ぜひ古気候の研究に生かしてください。私たちは、皆さんの古気候研究への参加を、心より歓迎いたします。

メンバー

中塚 武 (教授 地球環境変動論講座)

植村 立 (准教授 気候科学講座)

佐野 雅規 (特任准教授)

阿部 理 (助教 物質循環科学講座)

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李 貞研究員

加藤 義和研究員

井上智博博士後期課程1年

加藤 稔理環境学研究科博士前期課程2年

帆足えみり環境学研究科博士前期課程1年

生駒 開環境学研究科博士前期課程1年

白水 蓮環境学研究科博士前期課程1年

有村悠汰理学部地球惑星科学科4年

浜本佐彩理学部地球惑星科学科4年

灘 綾乃理学部地球惑星科学科4年

若尾 名緒技術補佐員

安井 明美技術補佐員

大澤 京子技術補佐員

研究活動

樹木年輪による古気候復元(中塚・佐野)

樹木の年輪に含まれるセルロースの酸素や水素の同位体比を使って、日本やアジア各国の夏の気候を復元して、過去数千年間に亘る気候の変動や、気候と人間社会の歴史的関係性を、年単位から千年単位までのあらゆる時間スケールで明らかにしています。

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図のような原生木以外にも、年代の異なる多数の木材のデータを重ね合わせて、数千年間の連続データを得ることができます。これは遺跡出土材や自然埋没木、古建築材などが、多数存在する樹木年輪ならではの利点です。

年輪の幅や密度に加えて、最近開発されたセルロースの酸素同位体比の高精度・高速分析法により、生育場所の影響を受けず、精度の高い気候復元が可能となりました。

セルロースは化学的に安定な物質なので、埋没して腐朽しつつある木材も研究に利用できます。日本各地の現生林や埋没林、考古遺跡から集めた多数の試料から、樹木年輪酸素同位体比としては世界最長となる過去約5000年間の気候の連続データを得ることができました。

遺跡出土材の年輪の酸素同位体比の変動パターンを、年代の分かっている木材年輪のデータと照合することで、遺物や遺跡の年代を年単位で決定することができるので、考古学への応用が活発に進められています。

鍾乳石による古気候復元(植村・阿部)

洞窟の鍾乳石は高精度に絶対年代が求まる特徴があります。我々はとくに鍾乳石に閉じ込められた過去の降水そのもの(流体包有物)の同位体比に注目して、地表気温の復元に取り組んでいます。

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鍾乳洞で形成される鍾乳石は、放射性同位体によって形成年代を精確に決定できるという特徴があります。気温や降水量の変動は炭酸カルシウムの酸素の安定同位体比等から推定できます。古気候の記録は海洋の情報が多い中、人類の生活地域に近い陸上の気候(気温、降水量)を精確に復元できるという特徴があります。このような背景から、2000年代以降、世界的に研究が活発になっています。

我々は、鍾乳石に含まれる流体包有物の同位体比に注目して研究に取り組んでいます。流体包有物とは鍾乳石ができる際に内部に取り込まれた微量の水で、液体のまま保存されている過去の降水そのものです。この過去の降水を抽出し,その同位体比を分析する手法を開発し、研究に取り組んでいます。これによって、従来は間接的に推定していた降水の同位体比を直接測定することができるため、定量的な気温推定が可能になりました。

アイスコアによる
古気候・環境復元(植村)

極域の氷を掘削して得たアイスコアは過去の気候変動に関するユニークな情報を保存しています。我々は安定同位体比を用いて気温復元やエアロゾルの起源推定に取り組んでいます。

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極域の氷床は雪が長期間にわたって堆積してできたものです。この氷を掘削して得た円柱状のボーリングコアがアイスコアです。アイスコアには過去の気温だけでなく、大気中の微粒子であるエアロゾルや大気のニ酸化炭素濃度などの他の媒体からは得られない大気環境に関する情報が多く保存されています。長いものでは、約80万年の連続記録が得られます。これらのアイスコアの情報は、他の古気候記録と比べて指標自体が扱いやすく年代軸が高精度であること等から、地球物理学による気候モデルの計算にも活用されています。

我々は、主に氷の酸素や水素の安定同位体比を分析して過去の南極の気温の復元を行っています。同位体比を詳細に解析することで、降雪をもたらした水蒸気が発生した海域の海面水温を復元する研究もしています。また、硫酸エアロゾルの硫黄同位体比分析による発生源の解析にも取り組んでいます。

造礁サンゴ骨格年輪を用いた
過去の海洋環境復元(阿部)

海洋は、エルニーニョやモンスーンなどの気候変動を駆動する重要な研究対象ですが、年・季節単位の時間分解能をもつ古気候記録はほとんどありません。そこで、熱帯・亜熱帯に生息するサンゴ年輪を用いて、高い時間分解能で過去の海洋の状態を明らかにします。

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熱帯や亜熱帯のサンゴ礁に生息する造礁サンゴのうち、ハマサンゴなどの塊状サンゴは、その炭酸カルシウム骨格の密度変化からなる年輪を形成します。体高10m程度に達する大きなものもあり、1年に1~2cmの成長速度を有します。このようなサンゴ試料を、水中ボーリングによってコア掘削し、1mmごとに骨格の化学組成を分析することで、水温や塩分などの海洋情報の月平均値を、数100年にわたって連続的に復元することができます。

安定同位体比分析手法の開発

古気候プロキシのデータを得るには高精度の安定同位体比分析が必要です。そのため古気候グループでは、試料の切断・前処理装置、磁場型質量分析計やレーザー分光式の分析計を保有しています。また、試料や研究の目的に合わせて、分析手法の独自開発も行っています。

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鍾乳石の流体包有物分析システム

独自に開発した鍾乳石中の微量の水の水素・酸素安定同位体比を分析する装置です。

サンゴのマイクロミリング装置

独自に開発したサンゴ骨格や炭酸塩試料をマイクロメートル単位で切削する装置です。

樹木年輪の酸素同位体比分析システム

年輪の酸素・水素安定同位体比を分析する装置です。

研究成果

  • 10Sep.
    2022
    日本文化財科学会 第39回大会で研究発表をしました。

    木材の年代決定に特化した過去2500年にわたる酸素同位体比標準年輪曲線の構築
    佐野雅規、李貞、村上由美子、神野恵、浦蓉子、金田明大、中塚武
    日本文化財科学会 第39回大会 2022年9月10日 千葉大学(千葉)

  • 07Sep.
    2022
    佐野特任准教授・李研究員・中塚教授らによる論文がJournal of Archaeological Science: Reportsに出版されました。

    Tree ring oxygen isotope dating of wood recovered from a canal in the ancient capital of Japan – ScienceDirect
    Masaki Sano, Zhen Li, Yumiko Murakami, Megumi Jinno, Yoko Ura, Akihiro Kaneda, Takeshi Nakatsuka
    Journal of Archaeological Science: Reports: Volume 45, October 2022, 103626

  • 25May.
    2022
    日本地球惑星科学連合 連合大会 2022年大会で研究発表をしました。

    最終氷期における南極ドームふじ氷床コアの硫酸塩エアロゾルの硫黄同位体を用いた起源推定:アタカマ砂漠からの寄与の可能性
    植村 立、眞坂 昂佑、飯塚 芳徳、平林 幹啓、松井 仁志、松本 理誠、植村 美希、藤田 耕史、本山 秀明
    日本地球惑星科学連合 連合大会2022年大会  2022年5月25日 幕張(千葉)  

  • 23May.
    2022
    EGU General Assembly 2022で研究発表をしました。

    A geoarchaeological approach for reconstructing last glacial temperatures using coupled isotopic analyses of fossil snails and stalagmites from limestone caves in Okinawa, Japan
    Ryuji Asami, Rikuto Hondo, Ryu Uemura, Masaki Fujita, Shinji Yamasaki, Chuan-Chou Shen, Chung-Che Wu, Xiuyang Jiang, Hideko Takayanagi, Ryuichi Shinjo, Akihiro Kano, Yasufumi Iryu
    EGU General Assembly 2022  2022年5月23日 Online/ Viennna  

  • 22May.
    2022
    日本地球惑星科学連合 連合大会 2022年大会で研究発表をしました。

    ネパール・ヒマラヤ, トランバウ氷河アイスコアの水安定同位体・不溶性微粒子分析
    江刺 和音、對馬 あかね、植村 立、的場 澄人、飯塚 芳徳、藤田 耕史
    日本地球惑星科学連合 連合大会2022年大会  2022年5月22日 幕張(千葉)

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入試関連情報

新メンバー募集

大学院入学希望の方は、名古屋大学大学院の環境学研究科地球環境科学専攻大気水圏科学系に入学することになります。入試は夏(8月頃)と冬(2月頃)の年2回実施しています、入試の詳細情報は下記をご覧ください。

名古屋大学大学院 環境学研究科 年2回実施 入試詳細情報

また、大気水圏科学系では入学前に研究を体験できるインターンシップを実施しています。旅費も支給されますので、ご興味のある方は下記をご覧ください。

大気水圏科学系 インターンシッププログラムご案内 旅費 宿泊費 支給

お問い合わせ

学部・大学院で古気候学を学びたい方、学位取得を目指している方、講演等を依頼したい方、試料の分析に興味をお持ちの方は下記までご連絡ください。

連絡先メールアドレス
中塚・阿部(年輪・サンゴ)
nakatsukalab@gmail.com
植村(鍾乳石・アイスコア)
ryu.uemura@nagoya-u.jp